抄録
近年、世界各地の淡水域における水草の過剰繁茂が問題となっており、生態系への影響、航行障害、景観の悪化や悪臭といった、環境問題や社会的・経済的損失を引き起こしている。除去した水草は主に堆肥化処理されているが、臭気の発生や広大な土地が必要といった問題がある。そこで、水草をメタン発酵することで、これらの問題を解決するとともに、得られるバイオガスは再生可能エネルギーとしての利活用が可能であると考えた。一方、水草刈取量・種組成は季節変動が大きく、メタン変換率の変動が予測されるが、周辺地域から排出される食品廃棄物を混合することで、通年でのメタン発酵施設の安定的な稼働ならびに地域の廃棄物処理の問題も同時に解決出来ると考えた。本研究では、実規模での処理に向けた算定基準となる基礎データを得るため、琵琶湖南湖で除去された水草と給食センター由来の食品廃棄物との共消化・半連続メタン発酵を160 L規模で実施した。