抄録
食品製造工場などで発生するこの油脂含有量の多い廃棄物(以下、油脂廃棄物)を原料としたメタン発酵の開発を行った。油脂廃棄物のメタン発酵における課題の一つである高級脂肪酸のメタン発酵槽内の蓄積を抑制するため、生物学的超高温可溶化技術(以下、超高温可溶化)の適用性を評価した。超高温可溶化槽を前処理とする二相式の連続試験装置にて実験した結果、最大容積負荷3.8kg-CODcr/m3・dに到達することができ、その時のCODcr分解率は85%であった。高級脂肪酸の分解効果を評価するため、可溶化槽内の高級脂肪酸濃度を測定した結果、超高温可溶化により油脂廃棄物中に含まれる高級脂肪酸を65%分解することを確認した。