本研究は成分調整型堆肥の堆肥化および土壌施用後に排出される温室効果ガス(GHGs;CO
2, N
2O, CH
4)排出量を明らかにするために,乳牛ふん、食品工業汚泥(乳業汚泥)、生ごみ、鶏ふんの堆肥の製造および土壌施用の場合とインベントリ分析で比較検討した。堆肥化時から土壌施用後までのGHGsの総排出量を測定した結果、その排出量は試験区によって大きく異なり,いずれも堆肥化よりも土壌施用後に多くなることが明らかとなり、とりわけ施肥後のCO
2排出量の割合が54.9~83.8%と最も大きかった。また、成分調整型堆肥区のGHGs排出量を他試験区と比較すると,鶏ふん,乳業汚泥,生ごみ堆肥区よりは1.2〜1.3倍の増加となったが,乳牛ふんと比べると37.8%の減少を示した。以上から、堆肥の製造・利用におけるGHGs排出量は,材料によって異なるが、成分調整型堆肥では窒素などの肥料成分濃度が高くても顕著なGHGs排出量を引き起こさないことが示された。
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