抄録
金属水銀に常温にて約1.6当量の次亜塩素酸カルシウムおよび水を加え、スラリーとして約8時間反応後、約1.2当量の硫化ソーダを加えて硫化水銀とする。水銀化合物の場合は酸化を行わず直接硫化が可能であった。この硫化水銀は強アルカリを呈するので硫酸第一鉄にてpHを中性域(6~8)に調整することが必要であった。さらに中和した不溶化物は石膏を加え固化物にして無害化処理を行った。本処理により生成した硫化水銀の平均サイズは概ね数μであったが1μに満たない微細粒子も観察できた。処理温度の低下は酸化剤、硫化ソーダの増添加が必要であった。処理物の評価は告示13号に基づく溶出試験法にて行ったが、合格域(0.005mg/l)においての誤差が大きく、それは遠心分離後の濾過操作に影響を受けるためと思われた。本法は既に環境省からの告示法に比べ安価な設備、容易な操作で無害化が可能であるが、欠点としては処理物量がより大きくなるという点である。