抄録
日本国内では、人口減少やリサイクル意識向上の結果、ごみ量は減少傾向にあり、ごみ焼却発電プラントの新設需要は頭打ちとなりつつある。その一方で開発途上国では、焼却を行わない埋め立て処分が主体となっており、ごみ焼却発電プラントの新設需要もこれまで低かった。しかし、近年、東南アジアをはじめとした開発途上国でも人口増加や都市化により、特に都市部でごみ量が急増した結果、最終処分場の残余容量が逼迫し、ごみの減量化に向けた焼却施設など中間処理施設の重要性が高まっている。さらにエネルギー需要の高まりと相俟って、再生可能エネルギーの中でも安定した電力供給が可能と考えられるごみ焼却発電に対する期待もあり、ごみ焼却発電システムに対する将来的な需要拡大が予測されている。そのような背景から、開発途上国におけるごみ焼却発電導入に向けた課題を整理しつつ、日本の特徴と今後取り得る方向性を考察する。