抄録
筆者らはこれまでの研究において、廃石膏ボードと接触する浸透水を高アルカリ性にすることによって硫化水素ガスの発生を抑制することを試みた。しかし、廃石膏ボード単体埋立てを対象とする場合、初期pHがアルカリ性であっても、通水や微生物反応、炭酸化等の影響によってpHが低下する可能性が観察された。本検討では、廃石膏ボードに含まれる有機物(デンプン)のpHを上昇させてアルカリ化し、その後pHを低下させた場合、どのようなメカニズムで硫化水素ガス発生に影響があるかを調査した。
結果、デンプン溶液をNaOHでアルカリ処理した場合には硫化水素ガスの発生が抑制され、中和してもその抑制能力は維持されていた。一方で、再生石膏粉の抽出液をアルカリ化して、再び中和しても硫化水素ガスが発生した。この原因は、廃石膏ボードの中には多種のデンプンおよび糖類が含まれ、糖塩基性反応の影響がないもがあると推定される。