抄録
一般廃棄物のリサイクル率は近年頭打ちとなっており、減少が観察される自治体もある。この理由のひとつに自治体の処理・再資源化ルートを経由しない未把握の一般廃棄物フローの存在があげられる。本研究では、リサイクル率が減少傾向にある滋賀県を対象に、産業廃棄物の多量排出事業者による報告書を用いて、産業廃棄物として処理された事業系一般廃棄物の排出量・再資源化量を推計し、既存研究におけるその他の未把握のフローと合わせてそれに基づくリサイクル率(真のリサイクル率)を推計した。その結果、2016年度における多量排出事業者の報告は304事業場、うち事業系一般廃棄物に該当する報告をしているのが63事業場であった。その量は2016年度で6,319tであり、報告された木くず、紙くず、繊維くず排出量のそれぞれ約20%、約50%、約2%であった。また、真のリサイクル率は現行のリサイクル率を10数%上回る結果となった。