抄録
本報告では、基質利用試験により求めた埋立後27年を経過した焼却残渣と土壌の微生物群集構造を比較するとともに、焼却残渣中で生残した土壌細菌の群集構造について調査し、土壌還元の初期から最終段階までのすべての段階を評価できる指標として、生残性試験と群集構造解析の組み合わせの有効性について検討した。
その結果、①塩類や有害物質の洗出しの進行及び細菌の栄養源の蓄積によって、土壌細菌の生残率は上昇すること、②覆土材等に生育する植物遺体が栄養源の供給に寄与していること、③生残率が同じであっても、基質利用性が異なることから、生き残っている細菌の種類が異なる可能性が高いこと等が明らかになった。
以上の結果から、焼却残渣が土壌還元できる状態に達したかどうかを評価する指標として、土壌細菌の生残率と基質利用性に基づく細菌群集解析の組み合わせが有効であることがわかった。