抄録
最終処分場から発生する環境負荷は経時的に減衰し、省令の示す物理化学的な安定化指標を用いて処分場の廃止、さらに維持管理の停止が判断される。しかし、微生物の生育阻害物質がある場合、生物活性が低下するため環境負荷物質の放出は抑制され、見掛けの安定化状態を表す。筆者らは、埋立構造が埋立初期の微生物機能に与える影響から、より好気的な環境ほど微生物の基質利用性が高い事を明らかにした。今回は廃棄物の分解プロセスが異なる時期の微生物群集、及びその多様性を明らかにし、廃棄物の物理化学的安定化指標とそれらとの関係性について調査した。その結果、微生物数や炭素基質利用特性が埋立構造ごとに異なる要因として、埋立構造の違いが廃棄物の分解プロセスの移行時期や安定化進行度に影響を与える事が明らかとなった。さらに、浸出水の水質と微生物特性を比較する事で埋立廃棄物分解の進行状況及び生育阻害について評価できることが示唆された。