廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
セッションID: B5-4-O
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B5 ごみ文化・歴史
昭和戦時下の屎尿肥料化研究と資源調査会勧告
*稲村 光郎
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抄録

わが国では、屎尿処理技術として嫌気性消化方式が、1970年代まで最も普及し、大きな影響を与えてきた。それは経済安定本部資源調査会の勧告(1950)が契機であるが、その勧告はもともと屎尿を安全に肥料化することを目的とし、その適正な廃棄を目的とするものではなかった。その技術は、下水汚泥処理施設の嫌気性消化装置技術を転用したもので、消化汚泥と消化後の脱離液を併せ肥料化することを内容としていたため、処理装置としては特に脱離液の処理が問題となった。そこでこの勧告の基となった1930〜1945年におけるわが国の屎尿処理技術の研究開発状況を調査したところ、研究者等は戦時下で肥料の乏しくなった農業のために屎尿の肥料化の研究を進めたもので、嫌気性消化方式はそのためにもっとも適正と考えられられた処理技術であった。その反面、脱離液を適正に処理する技術には、さして関心がはらわれず未発達となっていた。

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© 2019 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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