災害時に自治体職員は平時の業務範囲を超えて分野横断的に業務を実施していかなければならない。また、発生した課題に逐次的に対応するだけでなく、業務全体をイメージして戦略的に対応することが求められる。本研究では、災害廃棄物処理業務をイメージする能力を評価するため、災害廃棄物研修に参加した自治体職員による業務フロー図の作成・評価を試行し、手法の有効性について検討した。
対象としたのは図上演習に参加したA県の自治体職員が作成したフロー図である。フロー図を解析した結果、全体として研修後に業務数が増加し、業務の体系化の程度が向上していた。また、災害廃棄物対策指針から抽出した23の業務ごとの頻出度の違いや、小規模な自治体の参加者ほど、業務の網羅性が研修後に上昇する幅が大きい傾向があることなどがわかった。今後、さらに手法の有効性を検討し、人材育成研修の強化・改善に寄与するポイントを明らかにしていく予定である。