セメント産業では、種々の廃棄物・副産物を活用している。中でも、廃プラスチック(廃プラ)はセメントクリンカの焼成工程で利用される。このような廃プラは複数の種類の混合や異物の混入などの理由から単純焼却をされることが多いが、セメント製造工程では有効活用されている。
本研究ではLCAの手法に基づいてCO2排出削減量の算定モデルを作成し、セメント製造における廃プラ循環利用システムの評価を行った。廃プラを利用してセメント製造する循環利用システムと、石炭のみを利用し、廃プラは単純焼却を行うオリジナルシステムについて、CO2排出量を評価指標として比較した。システム境界にはセメント製造工程に加えて廃プラの焼却・埋立処分、廃プラ破砕、廃プラと石炭および廃プラ焼却残渣の輸送を含めることとした。
算定の結果、セメント1tあたり23kgの廃プラ利用により石炭利用量が29kg削減され、CO2排出量が75kg削減された。