流通研究
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特集論文
外食グローバル化のダイナミズム
日系外食チェーンのアジア進出を例に
川端 基夫
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2013 年 15 巻 2 号 p. 3-23

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抄録

本稿は、従来は食文化論的な視点から論じられることが多かった外食の海外進出問題を、流通論の枠組みの中で捉え直し、チェーン・マネジメントの視点から分析したものである。具体的には、新たな分析フレームの提示、外食グローバル化の鍵を握る現地でのオペレーション・システムの内容の検討、日系外食チェーンによる現地でのシステム構築の実態分析を行い、外食グローバル化の今後の研究課題を示した。本稿で重視したオペレーション・システムとは、①進出先における食材の調達・加工・配送システム、②店舗開発システム、③人材育成システムの 3つのサブシステムから成る。実態調査では、①のシステムについては独自に構築していることが明らかとなったが、 ②と ③のシステムについては、自力での確立が困難な実態であることが明らかとなった。また、①の構築に際しては、レシピの機密保持の観点から、中核メニューの味の決め手となる調味料系食材を日本の本社が供給(輸出)しているケースが多くみられた。一方で、近年は日系食品メーカーによる海外工場の開設も進展してきているため、それを利用して調味料関係を現地生産化し、コスト削減と安定供給化を図ろうとする動きが進んできていることも明らかとなった

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© 2013 日本商業学会
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