抄録
本論文の目的は、北米市場における日本産マンガ出版の事例分析を通じて、グローバル・マーケティングが直面する文化障壁について考察することにある。筆者自ら作成した書誌データベースなどを活用した事例分析によれば、大衆的な文化製品を輸出する際には、進出先市場で共有されている文化規範と、輸出される文化製品に対応する進出先の文化製品に関するステレオタイプという 2つの障壁に直面する。本論文は、大衆文化製品に与えられたスティグマがゆえに生まれたこうした文化障壁を克服するためのマーケティング努力を、ゴフマンのスティグマ管理という概念を通じて解釈する。