流通研究
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15 巻, 2 号
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特集論文
  • 日系外食チェーンのアジア進出を例に
    川端 基夫
    2013 年 15 巻 2 号 p. 3-23
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿は、従来は食文化論的な視点から論じられることが多かった外食の海外進出問題を、流通論の枠組みの中で捉え直し、チェーン・マネジメントの視点から分析したものである。具体的には、新たな分析フレームの提示、外食グローバル化の鍵を握る現地でのオペレーション・システムの内容の検討、日系外食チェーンによる現地でのシステム構築の実態分析を行い、外食グローバル化の今後の研究課題を示した。本稿で重視したオペレーション・システムとは、①進出先における食材の調達・加工・配送システム、②店舗開発システム、③人材育成システムの 3つのサブシステムから成る。実態調査では、①のシステムについては独自に構築していることが明らかとなったが、 ②と ③のシステムについては、自力での確立が困難な実態であることが明らかとなった。また、①の構築に際しては、レシピの機密保持の観点から、中核メニューの味の決め手となる調味料系食材を日本の本社が供給(輸出)しているケースが多くみられた。一方で、近年は日系食品メーカーによる海外工場の開設も進展してきているため、それを利用して調味料関係を現地生産化し、コスト削減と安定供給化を図ろうとする動きが進んできていることも明らかとなった
  • 北米における日本産マンガ出版を事例として
    松井 剛
    2013 年 15 巻 2 号 p. 25-41
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は、北米市場における日本産マンガ出版の事例分析を通じて、グローバル・マーケティングが直面する文化障壁について考察することにある。筆者自ら作成した書誌データベースなどを活用した事例分析によれば、大衆的な文化製品を輸出する際には、進出先市場で共有されている文化規範と、輸出される文化製品に対応する進出先の文化製品に関するステレオタイプという 2つの障壁に直面する。本論文は、大衆文化製品に与えられたスティグマがゆえに生まれたこうした文化障壁を克服するためのマーケティング努力を、ゴフマンのスティグマ管理という概念を通じて解釈する。
  • 丸谷 雄一郎
    2013 年 15 巻 2 号 p. 43-61
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    小売国際化研究は1990年代以降理論的課題の提示と分析モデル構築という概念化段階に達した。矢作(2007)は、日米欧韓の小売企業の東アジアでの小売事業モデルの現地化のケースをつみあげることにより、初期参入段階を踏まえた上での現地化段階での戦略パターン解明をグローバル統合段階をも意識しながら行っている。本研究は矢作(2007)とは手法が異なるが、矢作(2007)の枠組みに依拠し、世界最大の売上高を誇り、更なる国際展開を進め、現地化段階からグローバル統合段階を目指しつつある、ウォルマートのラテンアメリカ地域、特にメキシコ市場での低所得階層を主要標的とするボデーガ業態の開発を主要分析対象とした。新規業態開発志向の現地化戦略に関して解明を試み、創造的な連続適応型の新規業態開発志向現地化の成功事例として位置づけた。
  • 井上 真里
    2013 年 15 巻 2 号 p. 63-76
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,近年の多国籍企業における製品ブランド管理の進展がグローバル・マーケティングの分析枠組みに対してもたらす示唆について考察する。製品ブランドは,ローカル・ブランド(ある 1ヵ国のみで市場導入される製品ブランド)、リージョナル・ブランド(ある地理的地域において市場導入される製品ブランド),そしてグローバル・ブランド(主要先進諸国を中心として世界的に市場導入され,海外売上高比率が高く,さまざまな利害関係者によって肯定的に評価された製品ブランド)に類型化される。多くの製品ブランドを所有する多国籍企業において,グローバル・ブランドはローカル・ブランドやリージョナル・ブランドよりも数が圧倒的に少ないものの,売上高に対する貢献において非常に重要な位置づけにある。 ただし,より重要なのは各類型における製品ブランド数の多寡よりも,当該企業全体の戦略に沿ったそれらの一貫性やバランスである。この視座に基づくと,既存のグローバル・マーケティング枠組みは多国籍企業における製品ブランドの「重層性」を十分に考慮しているとはいえない。また,当該研究では主に「世界標準化/現地適合化/複合化」という分析軸が提示されてきたが,それは「ある 1つの製品」あるいは「ある多国籍企業が有するすべての製品」を分析単位としてア・プリオリに規定している。本稿では,各製品ブランド類型における標準化と適合化とのバランスや当該類型間における重層的なバランスについて論じる。
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