流通研究
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特集論文
韓国における流通政策の展開と伝統的商業集積の問題性
崔 相鐵柳 到亨
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2014 年 17 巻 2 号 p. 27-46

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抄録
 90 年代中盤以降、韓国の流通政策は、経済効率主義を優先し、大型マートや SSM のような大規模店舗の高速出店を傍観したが、間もなく政治的思惑に左右され伝統的商業集積 (とりわけ伝統市場) を保護すべく規制的色合いを強めた。ただし、天文学的な予算を注ぎ込んだ流通政策の成果が問われ、行き過ぎた規制政策の弊害が指摘されている。最近は支援政策のための資源投入を選択と集中を通して進めるべきだという主張が提起されている。しかし、選択と集中の方法論については、ハード事業重視からソフト事業重視への視点転換が叫ばれるのみで具体性に欠けており、実際に実行されているソフト事業も少なからず問題点を呈している。結論的に、韓国の伝統的商業集積の主役である中小商人の意識の中に存在する敵 (内々の敵) を打ち負かすべく、 (日本の先行研究が勧めるような) 地域コミュニティの担い手としての誇りとやりがいを持たせることが、今後の韓国のソフト事業支援策、さらに流通政策全般に求められると主張する。
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© 2014 日本商業学会
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