抄録
2001 年の WTO 加盟後、中国では外資系小売企業の出店が急増した。これを背景としてその後、大型店の立地規制導入の機運が高まり、中国政府 (商務部) は規制条例制定を試みた。しかし、それは現在に至るも日の目をみていない。こうした経緯を踏まえ、まず、大型店の立地規制や都市計画・土地利用規制をはじめとするまちづくりにかかわる法制度の整備を考える理論的枠組みを、制度の補完性と進化という考え方を援用して整理した。そのうえで、商務部が準備した条例案が当時の都市計画制度等のある種の均衡状態を突き崩す可能性があったものの、外資系小売企業の役割や中央政府と地方政府の主導権争いなどから、政府としてのコンセンサスが得られず、都市計画制度についても従来のハード面での都市建設重視のままの状態が続いたことを明らかにした。最後に、そうした中でも、急激に進展している少子高齢化が、人々の暮らし方というソフト面を含めたまちづくりの取り組みが重視されるようになってきていることを指摘した。