2025 年 27 巻 4 号 p. 5-19
本研究の目的は,企業が環境配慮情報を伝達する手段の1つとして製品パッケージ上の環境ラベルに注目し,それが消費者の態度に与える影響を明らかにすることである。従来の環境ラベルは,第三者機関による認証マーク型および企業による独自マーク型が主流であり,これらの有効性について学術的な知見が蓄積されてきた。これに対して昨今,主に低関与製品のパッケージにおいては,新たにQRコードが環境ラベルに利用されている。しかしながら,QRコード型環境ラベルの有効性については十分な検討が行われていない。そこで本研究は,従来の環境ラベルとの有効性を比較するべく,消費者が知覚する「情報の透明性」の概念に着目して,理論仮説の構築と,オンライン実験による分析を行った。分析結果から,QRコード型の環境ラベルは,認証マーク型や独自マーク型よりも消費者の環境配慮情報の透明性の知覚が高まり,その結果として購買意向やブランド態度が向上する可能性が示唆された。