抄録
本稿の目的は, 自然発生的な商業集積を望ましい方向に変化させるための組織的な取り組みを商業集積のマネジメントとして捉え, そのマネジメントを通して商業集積に自律的な変化を生み出すための「仕掛け」について考察することである。具体的には, 香川県下の2つの商店街活動の比較事例分析を通じて, 仕掛けづくりの方策に関する理念的な類型を提示する。類型の1つは, 集積内に中核となる施設を整備することに代表されるような, 集積の経済の循環を生み出す基点となる直接型の取り組みである。もう1つは集積の経済が循環するための基盤となるような地域コミットメントや地域イメージを醸成する間接型の取り組みである。このような理念的な類型は, 以後の商業集積のマネジメントに関する考察や実務的な取り組みに際して概念的な枠組みを与えることが期待される。