流通研究
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10 巻, 1-2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 柳 到亨
    2007 年10 巻1-2 号 p. 1-16
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿では、既存研究から蓄積された議論を手がかりに、商店経営者の事業継承意志に及ぼす影響を、家族理念意識 (家族財産意識、家業意識) と経済的側面や家族要因との相互作用関係から明らかにする。本稿では、 (1) 家業意識と家族従業者数の交互作用項、 (2) 家族財産意識と親子同居の交互作用項、そして (3) 家族財産意識と経営成果の交互作用項が、事業継承意志に影響を及ぼしていることを明らかにした。
  • 成生 達彦, 鈴木 浩孝
    2007 年10 巻1-2 号 p. 17-27
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿では, 生産者と小売業者からなるチャネルの間での価格-数量競争について検討する。生産者間では価格競争が行われているが, 小売業者間では数量競争が行われている状況を想定する。このとき, 仮に生産者が小売業者からフランチャイズ料を徴収可能ならば, 需要の増加は出荷価格の下落を導くし, 出荷価格は戦略的に代替的となる。また, 生産者による小売業者の垂直的分離は, チャネル間の競争を激しくする。さらに, 市場の競争性は生産者数のみならず小売業者数にも依存し, 生産者が少数であっても, 小売業者が多数存在すれば, 市場は十分競争的となる。
  • マーケティングにおける質的リサーチの有効性
    栗木 契
    2007 年10 巻1-2 号 p. 29-43
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、マーケティング・リサーチの対象、目的、焦点を再考し、質的リサーチの位置づけを見直すことである。そのために、本稿では、社会科学の領域で提唱されてきた3つの代表的なリサーチ・プログラムの構想 (論理実証主義、批判合理主義、構築主義) をとりあげ、マーケティング・リサーチの対象や目的により適しているのはどの構想であるか、そしてこれらの構想の違いによって、リサーチ・プログラムにおける質的リサーチの位置づけがどのように変化するかを検討する。その結論として、本稿では、 (1) マーケティング・リサーチは、「局所的秩序」を対象としたリサーチとなること、 (2) したがってマーケティング・リサーチの目的は、「規則や秩序の局所性の反省」と「規則や秩序の予測・再現可能性の向上」という2つの課題を達成することとなり、 (そのためには、「偶有性の解明」と「行為の連鎖がおりなす、循環する関係の把握」に適した質的、) サーチを積極的に活用するべきであることを主張する。なお、以下はその前編である。
  • 鳥居 昭夫, 成生 達彦
    2007 年10 巻1-2 号 p. 45-60
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    流通の各段階で発生する情報の伝達が制約を受けるため、情報を獲得した主体がそれを利益に転換するために取引に介入する結果、流通経路が長くなる。本稿では、1970年代以降30年間の日本の5消費財のパネルデータを用いて、卸売段階数の規定因に関する実証分析を行う。主要な結論は、流通経路の長さが消費地卸の比重と系列化の進展に規定されているということである。また、消費地卸の比重を規定する要因として、地域の需要変動の独立性、下流における広告宣伝活動の重要性および小売店舗数を挙げることができる。これらが消費地卸の情報の価値を左右すると考えられる。さらに、その他卸の比重を規定する要因として、系列化の進展 (を促すのと同じ市場環境要因) 、地域の需要変動の独立性および広告による製品差別化の程度がある。
  • 「貨幣物流業」の革新とその流通業への含意1
    西村 清彦
    2007 年10 巻1-2 号 p. 61-76
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 石原 武政
    2007 年10 巻1-2 号 p. 77-78
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 東北地方の事例を中心に
    原田 英生
    2007 年10 巻1-2 号 p. 79-94
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
  • 金沢モデル
    小西 滋人
    2007 年10 巻1-2 号 p. 95-111
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は都市商業の政策・戦略・課題に若干のコメントを加えた上で、「金沢モデル」の政策的対応としての金沢市商業環境形成まちづくり条例制定の意義と課題を検討する。つぎにこれを踏まえて、「金沢モデル」の戦略的対応の特徴的事例として、中心市街地の商圏拡大効果を狙って進行している、近江町市場再整備事業を、米国中規模都市の公共市場計画との比較の中で評価を加える。さらに、都市商業の「金沢モデル」の政策的・戦略的課題を、「富山モデル」との比較の中で、検討を加えている。最後に、都市間競争と広域調整という難問に言及している。
  • 九州地域を中心に
    宇野 史郎
    2007 年10 巻1-2 号 p. 113-129
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、まちづくり三法の改正が地域商業の展開にどのような影響を及ぼすことになるのかについて、九州地域を中心に論じたものである。とくに、改正の前後における地方自治体の対応に戸惑いがみられることに着目し、そのことが大型店立地による地域経済への波及効果の検証が不十分なことに由来していることを指摘し、雇用効果、税収効果、買物利便性効果について限られたデータであるが分析を試み、影の部分としてのマイナス効果を明らかにすることをとおして、改めて大型店の適正配置の必要性を提言した。
  • 香川県の商店街を事例として
    小宮 一高
    2007 年10 巻1-2 号 p. 131-144
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 自然発生的な商業集積を望ましい方向に変化させるための組織的な取り組みを商業集積のマネジメントとして捉え, そのマネジメントを通して商業集積に自律的な変化を生み出すための「仕掛け」について考察することである。具体的には, 香川県下の2つの商店街活動の比較事例分析を通じて, 仕掛けづくりの方策に関する理念的な類型を提示する。類型の1つは, 集積内に中核となる施設を整備することに代表されるような, 集積の経済の循環を生み出す基点となる直接型の取り組みである。もう1つは集積の経済が循環するための基盤となるような地域コミットメントや地域イメージを醸成する間接型の取り組みである。このような理念的な類型は, 以後の商業集積のマネジメントに関する考察や実務的な取り組みに際して概念的な枠組みを与えることが期待される。
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