抄録
本稿では, 生産者と小売業者からなるチャネルの間での価格-数量競争について検討する。生産者間では価格競争が行われているが, 小売業者間では数量競争が行われている状況を想定する。このとき, 仮に生産者が小売業者からフランチャイズ料を徴収可能ならば, 需要の増加は出荷価格の下落を導くし, 出荷価格は戦略的に代替的となる。また, 生産者による小売業者の垂直的分離は, チャネル間の競争を激しくする。さらに, 市場の競争性は生産者数のみならず小売業者数にも依存し, 生産者が少数であっても, 小売業者が多数存在すれば, 市場は十分競争的となる。