抄録
昨今の景気後退と物価高を受けてわが国でもプライベート・ブランド (PB) は、小売企業の成長だけでなく、消費者行動やメーカーのブランド (NB) 戦略にとってますます重要な存在となってきている。そうしたなかで顧客のPBロイヤルティ構造を日英米3ヵ国、紅茶、牛乳、チョコレート、シャンプーの4製品カテゴリーについて、主として共分散構造分析を用いてモデル比較を行った。その結果、3ヵ国に共通してPB価値優位性に対する価格要因の影響力は低く、環境・健康といった付加価値要因が高いPBロイヤルティの形成に寄与していること、他方、PBロイヤルティに対する製品要因の影響度、コストパフォーマンスおよび品質の役割は国によって異なること明らかにされた。欧米と比べて低いと言われてきた日本のPBシェアの影響要因を解明するためには、これらの各国別の共通点や相違点をふまえることが必要である。