抄録
本論文の中心課題は、海外市場参入の選択に影響する市場環境、取引費用、競争戦略および企業能力の要因を、既存の国際マーケティング論、取引費用理論、競争戦略論と企業理論の研究においてどのようにとらえてきたのかについて論じることである。本論文ではまず、従来の研究が共通してもっている暗黙の前提の問題点を明らかにした。企業はその国際化プロセスから離れてすべての参入形態を同時に選択することができない。企業は市場環境と企業能力によって、さらに企業の国際化の歴史によっても選択が制約される。つぎに、諸理論のもつ問題点と関連性を整理することによって、それらの補完性を明らかにした。