抄録
本稿はマーケティング・マネジャーの人材開発について、キャリア形成に注目しながら検討する。日米独の比較から導かれる日本の人材方式の主要な特質は次のようになる。すなわち、日本では、米独の早期選抜と対照的に、企業内の長期的な競争が維持され、長期評価に基づく遅い選抜が認められる。また、日本のマーケティング・マネジャーは販売領域も経験する統合キャリアであり、マーケティング領域内の仕事経験の幅もそれほど狭くない。以上を総合すると、幅広い専門性を形成する現状においても、将来の営業方式の変化における潜在的な適応力においても、日本の人材開発の優位性は高いと推測される。