抄録
本稿は、日本の流通短縮化現象の規定要因を、技術発達による流通サービス費用の減少によるものとして捉えた既存研究とは異なり、その技術発達が流通機関の戦略行動に影響をあたえ、その戦略行動の結果として流通短縮化が進むことを主張する。特に、流通機関の中でも集中度の変化が顕著に生じる卸売業界の動きに注目し、大規模卸売企業の戦略的行動が小売企業との関係を変化させる局面に焦点を当てている。そのために、大規模卸売企業の物流高度化と小売企業に対する販売先絞込みといった戦略的行動に注目し、卸売企業に対する調査から卸売企業の戦略的行動と流通短縮化との関係を検討する。この分析の結果、物流高度化を実行する卸売企業の小売企業に対する販売先絞込みが卸売段階の集中度を変化させ、それの変化が流通短縮化をもたらす点が明らかになる。