流通研究
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7 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 小川 進
    2004 年 7 巻 2 号 p. 1-17
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿では、なぜセブンーイレブン・ジャパンが創業後、30年たった今でも他チェーンを凌ぐ高い店舗業績をあげてこれたのかを明らかにする。本稿では、 (1) ドミナント出店を背景とするファースト・フード分野における工場・メーカーの専用化 (2) 高い水準での単品管理の実行 (3) コンビニ最大の店舗数を背景とする川上の優良資源の吸引が、セブンーイレブンのシステム優位に貢献していることを明らかにした。
  • アパレル小売業の調査に基づいて
    片野 浩一, 西尾 チヅル
    2004 年 7 巻 2 号 p. 19-37
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    市場の成熟と消費者ニーズの多様化の進行により、個別顧客の欲求・ニーズに合わせて製品・サービスをカスタマイズして提供するマーケティング活動がいっそう重要となっている。なかでも、製品・サービスやその供給プロセスを標準化・効率化しながら、顧客の個別欲求に合わせて提供するマス・カスタマイゼーションが注目されている。本稿では、企業のマス・カスタマイゼーションの戦略メカニズムを統合的に説明できるモデルを提示し、日本のアパレル小売業の調査から得られたデータを使って経験的に検証する。
  • 日本のクリスマス消費に見る文化の再生産
    木村 純子, ラッセル W.ベルク
    2004 年 7 巻 2 号 p. 39-55
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、消費文化の受容について考えることを目的としている。分析対象として日本で活発に行われている西洋文化としてのクリスマス消費を取り上げる。これまでの議論は、西洋文化に日本文化を従属させる (グローバル論者) 、あるいは日本文化に西洋文化を従属させる (伝統論者) といった「西洋中心の文化帝国主義モデル」であり、文化を本質的なものとして捉え、日本の文化状況を均質化に行き着くものとして理解していた。ところが、消費文化の受容過程に目を凝らすと、実際は、文化は西洋か日本かのいずれかに均質化していくわけではない。本稿が依拠する変容論者は、消費文化の受容を日本人が主体的に異文化を受け止め利用していく過程 (=文化の再生産) と捉える。文化の再生産には、二つのしかたがある。一つは西洋をなじみのあるものに変えるしかたである。もう一つは西洋を西洋のまま維持するしかたである。このことから、日本の文化は、均質化に向かっているものとしてではなく、異類混交とした状況にあるものとして理解されるべきである。
  • EMS企業のグローバル・サプライチェーン戦略
    伊藤 宗彦
    2004 年 7 巻 2 号 p. 57-73
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    本稿は、グローバルな視点から、企業の価値創造の本質を問い直してみるものである。モジュール化が進む代表的な産業であるパソコンや携帯電話の市場では、日本企業はグローバル市場での競争力が弱いと思われる。一方、このような市場では製造専門企業 (EMS) が完全な水平分業を担い、高い成長率を示している。本稿ではEMS企業の製造価値は、製造、流通、修理といった機能の川下統合を目指すアメリカ型と、製品設計を取り込むことにより川上統合を目指す台湾型という二つの形態によって高められていることを考察した。このようなEMS企業の成長は、多くの企業と情報を共有しながらグローバル・サプライチェーン化を進めることにより促進されるというメカニズムが存在している。
  • 金 雲鎬
    2004 年 7 巻 2 号 p. 75-89
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、日本の流通短縮化現象の規定要因を、技術発達による流通サービス費用の減少によるものとして捉えた既存研究とは異なり、その技術発達が流通機関の戦略行動に影響をあたえ、その戦略行動の結果として流通短縮化が進むことを主張する。特に、流通機関の中でも集中度の変化が顕著に生じる卸売業界の動きに注目し、大規模卸売企業の戦略的行動が小売企業との関係を変化させる局面に焦点を当てている。そのために、大規模卸売企業の物流高度化と小売企業に対する販売先絞込みといった戦略的行動に注目し、卸売企業に対する調査から卸売企業の戦略的行動と流通短縮化との関係を検討する。この分析の結果、物流高度化を実行する卸売企業の小売企業に対する販売先絞込みが卸売段階の集中度を変化させ、それの変化が流通短縮化をもたらす点が明らかになる。
  • 行動主義的な管理の具体的な効用と成果に関して
    清宮 政宏
    2004 年 7 巻 2 号 p. 91-112
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    従来、成果主義ベース管理 (またはアウトプット管理) と行動主義ベース管理 (またはプロセス管理) の対比で研究がなされてきた営業管理様式であるが、行動主義ベース管理の優位点や必要性が提起されてきながら、営業管理においてそれを採用することによる効果や成果との因果関係についてはあいまいなものであった。
    今回の研究では、この営業管理様式と営業成果の因果関係を詳細に分析するため、営業管理様式を構成するものを、6つの管理方式に分け (アウトプット管理、リレーション管理、プロセス管理、行動量管理、管理方式のレビュー・修正、報奨) 、また営業成果も3つに分けて (営業員への効果、顧客における効果、企業での成果) 、これらの管理方式とそれぞれの営業成果との因果関係の検証をこころみた。
    その結果、アウトプット管理と報奨は、弱いながらも直接的に企業への成果に寄与するのに対し、リレーション管理、プロセス管理、管理方式のレビュー・修正は、営業員への効果、顧客における効果に強く直接的に寄与し、結果的に企業での成果を高めることが確認された。
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