抄録
本稿は、開示データが入手できる109のフランチャイズ・チェーンを対象に、フランチャイズ加盟店の廃業率を算出し、併せてフランチャイズ契約が加盟店の廃業率に与える影響を分析したものである。廃業率については、フランチャイズ加盟店の廃業率が非加盟店の廃業率に比べ高いことが判明した。加盟店の廃業に与えるフランチャイズ契約の影響については、テリトリー制が採用されている場合と加盟金が多額な場合に廃業率が低いことが明らかとなった。前者については、テリトリー権を付与しても依然として競合チェーンの参入は可能であることを踏まえると、市場が必ずしも競争的ではないか、ブランド内競争がブランド間競争より厳しいという、いずれかの結果を反映したものと考えられる。後者については、加盟金の金額が、開業支援の充実度やフランチャイズ加盟によって獲得できる将来利潤の大きさを示す結果とみられる。