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査読論文
価格リスト上における製品価格と背景色の明度の一致が消費者の態度に与える影響
河股 久司
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キーワード: 価格, 明度, 一致, 適合感
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2023 年 7 巻 1 号 p. 1-7

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Abstract

製品やサービスを選択する際に,メニューに代表される価格リストから選択を行うことがある。消費者の選択プロセスにおいて,視覚的要因が消費者満足に影響を及ぼすことから,メニューや価格リストにおける視覚的,特にデザイン面からの検討は,学術的視点からも重要であると考えられる。そこで本研究は,価格リストにおける価格と背景色の一致の効果を検討する。既存研究では,高価格な製品や明度が低い対象に対して品質を高く知覚することが示されている。つまり,価格と明度は知覚品質を通じて相関を持つと考えられる。そこで,リスト上に掲載される複数のプランについて,それぞれのプラン価格と価格に見合った明度をプランの背景色に用いることによるリスト評価やプラン選択への影響を検討した。実験の結果,プラン価格と背景色の明度が一致したリストのほうがリストに対する態度や,プラン選択の満足度が高まり,そのメカニズムとして「適合感」の影響が確認された。

1  はじめに

サービス業では,メニューなどの価格リストを通じて消費者に製品やサービスに関する情報を提供する。そして,リスト内の背景や文字の色,製品や価格の掲載位置などのデザイン要素が,製品選択に影響を与えることが指摘されている(Panitz, 2000)。製品選択プロセスにおいて,視覚的要因が消費者の選択満足に影響を及ぼすことに鑑みると(Mogilner, Rudnick, & Iyengar, 2008),消費者にとって好ましい価格リストの作成にあたり,視覚的な面,特にデザイン要素から検討することは重要であると考えられる。また,価格リストには複数の製品が掲載されることから,個々の製品毎に適切なデザイン要素を組み合わせることが必要であると考えられる。

そこで本研究は,リストに掲載される各製品の価格とデザイン要素である背景色との関係から検討する。また,背景色として色の明るさの指標である明度に着目する。高価格な製品ほど品質を高く知覚し(Völckner & Hofmann, 2007),明度が低くなると知覚品質が高まる(Chung & Saini, 2022)。このことから,リスト内に掲載される各製品の価格から知覚される品質に合った明度を,各製品の情報が記載された箇所の背景色に設定することで,知覚品質を軸として価格と明度が一致した価格リストを作成できる。そして,消費者は,このような価格リストに対して,価格と明度が一致しないリストに比べ,好ましい評価をすると考えられる。

さらに,上記のメカニズムについて,要因の一致による適合に焦点を当てる。2つの要因間に適合性がある時,消費者は適合感(Feeling Right)を知覚し,適合感は要因の適合と製品判断を媒介する(Malaviya & Sternthal, 2009)。各製品の価格から知覚される品質とマッチする明度を各製品の情報が記載されている箇所の背景色に設定したリストは,知覚品質を軸として価格と明度の間に高い適合性を有するため,消費者の適合感知覚を高められると考える。適合感知覚はマーケティング変数へ正の影響を及ぼすことから,価格と明度の一致の効果による適合感が,リストに対する評価を高める可能性がある。

メニューなどのデザインに関する既存のマーケティング研究では,製品とデザイン要素を組み合わせた検討が進められてきた(Dayan & Bar-Hillel, 2011Romero & Biswas, 2016)。一方,メニュー上に掲載される内容である製品,価格,デザインの3要素は相互に関連しながら消費者に影響を与えるという主張(Ozdemir & Caliskan, 2014)に鑑みると,価格とデザイン要素の組み合わせからも検討が必要である。本研究はこのような問題意識から,価格リストに掲載される製品の価格とデザイン要素である背景色の関係が消費者の価格リストへの態度やリストからの選択満足に与える影響を検討する。本研究により,製品に関連する情報とデザイン要素の組み合わせに注目した研究領域に新たな視点を提供することができると考えられる。

2  既存研究

2.1  色を対象とした消費者行動研究

色は日常生活の様々な場面に存在し,消費者の知覚に影響を与える(Ettis, 2017)。消費者行動領域における色を対象とした研究は,2010年以降,色相のみならず,彩度や明度を対象とした研究が精力的に行われるようになった(Labrecque, 2020)。色の鮮やかさの指標である彩度に関する研究では,彩度と覚醒水準の関係に注目した研究が挙げられる。例えば,高い彩度がもたらす覚醒水準やそれに伴う注意の高まりが,製品の大きさ知覚に与えることが示されている(Hagtvedt & Brasel, 2017)。Hagtvedtらの研究は音の周波数との調整効果(Wang, Qian, & Li, 2020)や,親近感への影響(Xiao, Zhu, Wang, & Wu, 2021)へと派生している。

また,明度に関する研究では,明度が低い対象を重く知覚すること(Alexander & Shansky, 1976篠原・木下・一川,2007)を起点とした研究が挙げられる。例えば,製品パッケージの明度から知覚される重さと製品の陳列棚上の位置から知覚される重さの一致効果(Sunaga, Park, & Spence, 2016)や,製品の明度による耐久性知覚の変化(Hagtvedt, 2020)が検討されている。

2.2  価格と知覚品質の関係

消費者は製品やサービスの品質指標として価格を用いており,高価格な製品やサービスに対し品質を高く知覚する(Dawar & Parker, 1994Pechmann & Ratneshwar, 1992)。価格と知覚品質の関係は,ビールやワイン,デジタルカメラ,家具内装塗装など,さまざまなカテゴリーで正の相関が確認されている(Cronley, Posavac, Meyer, Kardes, & Kellaris, 2005Kardes, Cronley, Kellaris, & Posavac, 2004McConnell, 1968)。また,Völckner and Hofmann(2007)は,価格と知覚品質の関係を検討した1989年から2006年の論文についてメタ分析を行い,価格と知覚品質の間には中程度の正の相関があることを明らかにした。

3  仮説設定

明度は,重さの知覚のみならず,消費者の品質知覚にも影響を及ぼす。消費者は,ウェブページの背景色に黒を用いたブランドのほうが,白を用いるよりも,当該ブランドの品質を高く評価する傾向がある(Kluge, Königsfeld, Fassnacht, & Mitschke, 2013)。また,ECサイト上の背景色の明度を低く設定することで製品の知覚品質が高まる(Hsieh, Chiu, Tang, & Lee, 2018)。他方で,価格と知覚品質の間には正の相関があり,消費者は,高価格な製品を高品質であると知覚する。さらに,Chung and Saini(2022)は,消費者は低明度の製品に対し高品質・高価格であると評価することを明らかにした。これらの既存研究から,品質,明度,価格の3つには関係性があり,品質を軸として価格と明度の間に関連があると考えられる。

本研究では,リストに掲載されている製品の価格と背景色の明度の効果を検討するが,既存研究では,製品特徴によって好ましい背景色が存在し(Huang, Wang, Liu, & Yu, 2020西井・守口,2019),適切な背景色を設定することは,消費者の行動を促すための重要な要因である(Choi, Li, Rangan, Yin, & Singh, 2020)ことが示されている。このことを踏まえると,各製品の価格から知覚される品質という製品の特徴に合わせた明度を背景色に設定することで,消費者の価格リストに対する評価が向上すると考えられる。具体的には,高(低)価格の製品の背景色に低(高)明度を設定したリストのほうが,高(低)価格の製品の背景色に高(低)明度を設定したリストに比べ,リストの評価を好ましく判断すると考えられ‍る。

また,本研究では,製品価格と背景色の明度が一致したリストからの製品選択満足についても検討する。既存研究では,ブランドと店内音楽(Beverland, Lim, Morrison, & Terziovski, 2006)や,店内の香りと音楽(Mattila & Wirtz, 2001)が一致することでブランドや購買経験などの満足度を高めたり,イタリアンレストランでの待ち時間中にイタリア料理の調理シーンを放映することで来店客の待ち時間中の満足度が向上する(Borges, Herter, & Chebat, 2015)ことが示されている。このように複数要因の一致により行動への満足度に影響を与えることに鑑みると,価格リスト上における各製品の価格と背景色の明度が一致することで行動への満足度,すなわち,製品選択の満足度を高められると考える。そこで,次の仮説を提示する。

仮説1:製品価格と背景色の明度が一致(高価格×低明度,低価格×高明度)した価格リストは,一致していない(低価格×低明度,高価格×高明度)価格リストに比べて,消費者の(a)リストに対する評価及び,(b)製品選択満足を高める。

また,仮説1のメカニズムとして,「適合感」を用いて検討する。適合感は,複数の要素の一致や適合により醸成される(Wadhwa & Zhang, 2015)。Wang, Liu, Kandampully, and Bujisic(2020)は,広告の色使いと訴求メッセージによる便益知覚の一致が適合感を高めることを示した。カラー広告は,モノクロ広告に比べ低次の解釈レベルを誘発し,レストランが提供する便益の1つである「おいしさ」も,「健康さ」に比して低次の解釈レベルにつながる。Wangらは,低次の解釈レベルにつながるカラー広告ではおいしさを訴求し,高次の解釈レベルにつながるモノクロ広告では健康さを訴求することで,解釈レベルを通じた色と訴求メッセージの一致の効果により,適合感を高めることを明らかにした。また,適合感の知覚は,説得,態度,購買意向などの変数に正の影響を及ぼす(Avnet & Higgins, 2006Cesario & Higgins, 2008Deng, Han, & Wang, 2019Wadhwa & Zhang, 2015)。既存研究が示すように,複数の要因が一致することで適合感を生起させられるのであれば,本研究で使用する製品価格と背景色の明度の2つの要因も,知覚品質を通じて一致することで,適合感が発生し,価格リストに対する好ましさや,製品選択時の満足が高まると考えられる。そこで,以下の仮説を提示する。

仮説2:価格リストにおける価格と背景色の明度の一致が消費者の評価に及ぼす影響は,適合感によって媒介される。

上記の仮説を検証するため,実験を行う。

4  実験

4.1  実験手続き

本実験では,オンラインストレージサービスを用いたプラン選択課題を行った。実験用の価格リストの作成に当たり,既存のオンラインストレージサービスの価格を参考に,ベーシックプランを月額980円,スタンダードプランを月額1,480円,プレミアムプランを月額1,980円とした。また,各プランの説明として,使用できるストレージ容量や一度にアップロードできるファイル上限なども合わせて記載した1)。各プランの背景色は,色相を200,彩度を100に固定し,明度は3種類設定した(低:30,中:50,高:70)。

リストに掲載するプランはそれぞれ左・中・右に配置し,配置順序は,左から価格降順及び昇順の2パターンを作成した。背景色の明度は,高(低)価格のプランの背景色に低(高)明度を用いた一致パターンと,高(低)価格のプランの背景色に高(低)明度を用いた不一致パターンを設定した。実験で使用する各リストの製品価格と背景色の明度の値は,表1にまとめられる。

表1. 実験刺激における価格と明度の関係

本実験では,価格掲載順序の異なる2パターンのリストと,プランによって背景色の異なる2パターンのリストを組み合わせた計4つのリストを用い,価格と背景色の一致の効果を検討する。4つのリストを用いて実験を行う理由は以下の通りである。左から価格昇順にプランを掲載したパターンのみで実験を行った場合,表1の右上と左下のリストを用い,評価や満足の差を比較することになる。その際,本研究で好ましいと想定するリストは,表1の右上に対応する。既存研究では,左側に比べて右側のほうが重さを知覚しやすく(Deng & Kahn, 2009Huang, Yang, & Liu, 2022),明度の低さが重さの想起に影響することが確認されている(Alexander & Shansky, 1976)。そのため,左から価格昇順にプランを掲載したリストのみを用いて実験を行い,表1の右上のリストが好ましいという結果が得られたとしても,その結果が,本研究が想定する品質を軸とした価格と明度の一致の効果によるものか,既存研究が指摘する重さを軸とした位置と明度の一致の効果によるものか判別し難い。そこで,既存研究で示される位置と明度の一致の効果という代替説明可能性を排除するため,左から価格降順にプランを掲載したリスト(表1:左上・右下)も作成し,仮説検証を行う。

なお,価格と明度の一致/不一致及び,位置と明度の一致/不一致の関係は,表1の表側・表頭に記したとおりである。本研究では,表1の上段にあるリストのほうが,下段のものよりもリストに対する評価及びプラン選択満足が高まることを確認する。

実験は,2022年8月に実施した。クラウドワークスに登録している一般消費者を対象に募集を行い,299名が調査に参加した。実験参加者は,4種類(価格:左から降順/昇順×価格と明度:一致/不一致)の価格リストのうちいずれか1つを見たうえで,価格リスト全体に対する評価を回答した。その後,プランを1つ選択した後,選択満足及び,リスト全体に対する適合感を回答した。価格リストに対する評価は,石井・朴・外川(2017)を参考に,「このリストに好ましさを感じる」「このリストは魅力的である」の2項目で測定した(r = 0.810)。また,選択満足は「プラン選択に満足している」の1項目,適合感はCesario, Grant, and Higgins(2004)を参考に,「しっくりくる」「違和感がある(逆転項目)」の2項目で(r = 0.592)測定した。なお,いずれの質問項目も7段階のリッカート尺度(「1:全くそう思わない」~「7:非常にそう思う」)を用いた。最後に,実験参加者は自身の属性を回答した。

4.2  分析結果2)

本研究では価格と明度の一致効果を検討するが,位置と明度の一致の効果の代替説明を排除する必要がある。そこで,価格と明度の一致(一致/不一致)及び,位置と明度の一致(一致/不一致)を独立変数とし,リストに対する評価やプラン選択満足度を従属変数とする二元配置分散分析を行った。結果,リストに対する評価及び選択満足のいずれも,価格と明度の一致の主効果のみが5%水準で有意となり(評価:F(1, 244) = 12.873,p < 0.001,満足:F(1, 244) = 5.090,p = 0.025),位置と明度の一致の主効果(評価:F(1, 244) = 0.025,p = 0.876,満足:F(1, 244) = 0.290,p = 0.590)及び交互作用(評価:F(1, 244) = 0.357,p = 0.550,満足:F(1, 244) = 0.255,p = 0.614)は非有意であった。プラン価格と背景色の明度の一致による主効果が有意であったことから,その平均値を比較したところ,プラン価格と背景色の明度が一致しているリストのほうが,リストに対する評価(M一致 = 4.290,SE = 0.115 vs. M不一致 = 3.709,SE = 0.114,p < 0.001,ηp2 = 0.050)及び,選択満足度(M一‍致 = 4.525,SE = 0.117 vs. M不一致 = 4.152,SE = 0.116,p = 0.025,ηp2 = 0.020)が高かった。

分析の結果,高価格(低価格)のプランの背景色に低明度(高明度)を設定することで,リストに対する評価や選択満足度が高まることが確認され,仮説1a・1bが支持された。なお,本実験で位置と明度の一致効果が現れなかった理由は,次節で述べる。

続いて,上記のメカニズムを確認するため,価格と明度の一致(0=不一致,1=一致)を独立変数,適合感を媒介変数,そして,リストに対する評価及び選択満足を従属変数とする,媒介分析を実施した(Hayes, 2017;PROCESS macro, Model 4)。分析の結果,独立変数から媒介変数へのパスは正に有意な値(β = 0.472,SE = 0.169,t = 3.819,p < 0.001)であり,媒介変数から従属変数へのパスも,リスト評価及び選択満足ともに正に有意な値を示した(評価:β = 0.614,SE = 0.048,t = 12.137,p < 0.001,満足:β = 0.469,SE = 0.016,t = 2.260,p = 0.025)。続いて,ブートストラップ法による5,000回リサンプリングを用い間接効果を確認したところ,評価及び満足ともに,95%信頼区間で0を含まない正の値となった(評価:β = 0.290,SE = 0.077,95%CI[0.138,0.441],満足:β = 0.221,SE = 0.061,95%CI[0.105,0.345])。また,直接効果はいずれの従属変数でも非有意であった(評価:β = 0.160,SE = 0.131,t = 1.583,p = 0.115,満足:β = 0.063,SE = 0.150,t = 0.548,p = 0.584)(図1)。以上より,プラン価格と背景色の明度の一致が,リストに対する評価や選択満足に与える影響は,価格と明度の一致による適合感が媒介することが確認された。よって仮説2は支持された。

図1.

媒介分析結果(左:リストに対する評価,右:選択満足)

いずれも標準化係数。***は0.1%水準で,*は5%水準で有意であることを示す。

5  まとめ

本研究は,価格リスト上の主たる要素である製品,価格,デザインが相互に関連しているという点(Ozdemir & Caliskan, 2014)から,3つの要因のうち,価格とデザインに注目し,製品価格と背景色の明度の一致の効果を検討した。実験の結果,高(低)価格のプランの背景色として明度の低(高)い色を用いると,リストに対する評価やプラン選択満足度が高まることが示された。また,そのメカニズムが,価格と明度の一致から知覚される適合感によることを確認した。

なお,本実験で明度から知覚される重さと位置の一致による効果が見られなかった理由は,以下のように考えられる。Sunaga et al.(2016)は,洗剤のパッケージなどを用いて明度を操作しており,パッケージの明度が製品の重さ知覚に影響を及ぼしていると考えられる。一方,本実験では,オンラインストレージサービスのプランを対象とした。つまり,重さ知覚につながりやすい有形財ではなく,無形財を対象に実験を行ったため,重さと位置の一致の効果が見られなかったと推察される。

本研究の意義として以下の点が挙げられる。学術的意義は,価格リスト上の主たる要素である製品・価格・デザインの3要素のうち,価格とデザイン要素である背景色との関連を検討した点が挙げられる。これにより,メニューなどのデザインに関するマーケティング研究に新たな視点を提供できたと考えられる。また,製品陳列におけるデザイン要素が,消費者に与える影響について理解することの重要性が示される中で(Kahn, 2017),リスト上の価格と背景色の明度というデザイン要素が価格リストに対する評価に影響を与えることが確認できた本研究は,製品陳列に関連する研究へも貢献できると考えられ‍る。

実務的な意義としては以下の点が挙げられる。メニューに代表される価格リストは企業にとって重要なマーケティングツールの1つである。消費者にとって好ましい価格リストを検討した本研究は,価格リストを作成する企業に対しデザイン的な側面からの示唆を提供できたと考えられる。

一方,本研究の課題として,以下2点が挙げられる。1点目は,異なる状況でも本実験の結果が再現できるかという点である。本実験では,プランが左右に掲載された価格リストを用いたが,プランが上下に掲載されているものも存在する。左右に比べて上下のほうが重さを強く知覚する可能性があり,位置と明度の一致効果が現れやすくなることが想定される。また,製品カテゴリーの影響を見る必要もある。本研究では無形財であるオンラインストレージサービスを用いて実験を実施した。一方で,有形財を用いた場合には,重さ知覚が活性化されやすくなるため,位置と重さの一致の効果が現れる可能性がある。これらの点から,製品の掲載方法や製品カテゴリーを含めたより詳細な検討が必要である。

課題の2点目として,製品画像の影響を検討する必要性が挙げられる。本実験では,製品画像の明度の影響を受けないよう,文字情報と背景色のみからなる実験刺激を作成した。しかし,製品画像を使用したリストやメニューもあることから,製品画像が掲載されたリストにおける価格と背景色の明度の関係についても検討が必要である。

謝辞

本論文の執筆にあたり,2名の匿名レビュアーの先生方には,大変建設的かつ的確なコメントをいただきました。ここに記して,感謝申し上げます。

1)  各プランの詳細は以下のとおりである。ベーシックプラン:ストレージ容量1 TB,ファイル上限5 GB,スタンダードプラン:ストレージ容量2 TB,ファイル上限7 GB,スタンダードプラン:ストレージ容量3 TB,ファイル上限10 GB。また,いずれのプランでもチャットによる24時間サポートが受けられることを示した。

2)  Instructional Manipulation Checkの回答を誤答した回答者(n = 12)及び,アンケートの最後に「先ほどの調査で見た価格リストがどれか」を選択するというアテンションチェックを設け,正しく選択できなかった回答者(n = 39)を除いた,248名を分析の対象とした。

参考文献
 
© 2023 日本商業学会
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