抄録
本論文では,Henrionらによる多項式行列アプローチに基づく制御系設計手法を用いて,耐故障性を考慮した制御系設計を行う.この手法は,制御対象およびコントローラからなる閉ループ系の多項式行列(制御対象の動的振舞いを微分方程式で表し,それをラプラス変換したもの)を基に,閉ループ極を任意の安定領域内の部分領域に配置するものである.この手法を用いることにより,従来では困難であった不確かさを含む構造系に対して耐故障性を持たせる事や,アクチュエータおよびセンサが故障した場合でも安定余裕を保証することが可能となりかつ効率的に適切なコントローラを設計できるものと思われる.また,制御系設計と同時に構造系設計を行う統合化設計問題も取り扱う.統合化設計を行うことにより,より優れた耐故障性能を達成できるものと思われる.