主催: 一般社団法人 日本機械学会
会議名: 生産システム部門研究発表講演会2024
開催日: 2024/03/04 - 2024/03/05
ボールエンドミルは3次元曲面加工を得意とする切削工具で,CNC工具研削盤によって製造される.しかし,砥石と工具の間では予期せぬ干渉が起こりやすく,所望の工具形状を得る研削経路の算出は幾何学的に複雑で難しい.現状は研削パラメータや設計値を手動で調整することにより対処されているが,そのメカニズムは十分明らかになっていない.ボールエンドミル形状によっては従来よりも工具の耐欠損性や切りくず排出能力向上の可能性があることもあり,特に新形状の設計効率化の需要は高まっているといえる.そこで本研究ではボールエンドミル刃裏研削に限定して,新形状の設計をねじれ角を不均一にすることで可能にしつつ,設計値からの偏差を最小にしながら干渉を回避した研削経路を理論的に算出することを目指す.本研究ではまず干渉メカニズムを解明し,干渉の予測ができるシステムを開発した.つぎに,干渉を回避する方法を考案し,一連の計算から強ねじれ切刃をもつボールエンドミルを設計し,刃裏研削経路を算出した.設計値から偏差させることで干渉を回避しているため,その後得られた形状のうち,切削性能に直結する重要なパラメータであるすくい角や切刃位置の評価を行った.その結果,十分な精度で研削シミュレーションを実行できていることがわかり,提案した干渉回避法の有効性が示された.