抄録
本研究では、衛星搭載用の形状可変副鏡の初期検討モデルの熱試験において観察された既報の事象について、その発生メカニズムを数値モデル解析を用いて明らかにする。著者らは100GHz程度の電波天文観測を想定し、軌道上で主鏡の歪み等の原因で発生する電波の光路長誤差を、副鏡を能動的に変形させることで軽減するシステムの開発を行っている。形状可変副鏡の初期検討モデルの熱試験を実施したが、恒温槽内の試験では計測できる項目が限定的であり、計測データだけから現象を定量的に説明することが難しい。そこで本研究では有限要素解析を実施して実験結果を再現することを通し、特に材料の熱膨張係数の不整合が形状可変副鏡の性能に与える影響を明確化する。