抄録
ロケット打上時において,宇宙機やその搭載機器は厳しい振動環境に曝されており,近年の宇宙機軽量化や開発コスト削減の観点から,振動環境の低減による設計制約の緩和や試験省略は重要な課題である.しかし,宇宙機の振動環境低減技術は個々に対するオーダーメイドの形でしか提案されていない現状にある.また,他業界で一般的に利用されるような汎用性のある防振アイソレーターを宇宙機へ適用することは,宇宙特有の厳しい環境条件に対しては困難であり,利用実績がほとんどない.したがって,本研究では様々な搭載機器に汎用的に利用可能な防振アイソレーターの開発に向けた基礎検討を行う.防振アイソレーターには宇宙環境にも耐えうるよう金属材料を用いることとし,その性能を解析により評価した.解析の結果から,本研究における防振アイソレーターは必要とされる防振機能を有し,さらに,準静的荷重による破損や累積疲労損傷による破壊を生じないとする構造的性能を十分に満足する解析結果を得ることができた.