本論文では,太陽-地球-月-宇宙機からなる制限4体系を,太陽-地球-宇宙機系と地球-月-宇宙機系の2つの制限3体系を結合したモデルを用いて,地球周回低軌道および月周回低軌道を境界条件として与える月遷移軌道の設計を行う.そのために,太陽-地球-宇宙機系では,地球近傍のチューブ(不変多様体)の構造を調べることで地球周回低軌道を離れる出発軌道を提案し,地球-月-宇宙機系においては,月近傍のチューブを調査することによって,月周回低軌道に輸送される到着軌道を見出す.それぞれの系において導出した軌道が接続点で滑らかにつながるように月遷移軌道を設計する.最後に,必要となるΔVについて他の手法と比較を行い,本論文による軌道の有効性を示す.