抄録
2003年より本邦野外捕集蚊からフラビウイルスの検出および分離を実施した結果、アカイエカをはじめとするイエカ属蚊類から新規フラビウイルスを見出し、Culex flavivirus (CXFV) と命名した。CXFVは分離、検出において、蚊由来細胞系に接種した場合にのみRT-PCRにより検出が可能であったが、細胞に対する影響(cytopathic effect:CPE)は出現しない場合も見られた。東京都産アカイエカから分離されたCXFVの1株について、形態学的、血清学的手法による性状解析を行い、さらにCXFVゲノムの全ヌクレオチド配列決定を試みた。これらの結果からCXFVはフラビウイルスの起源的なタイプとされる昆虫フラビウイルスに属するが、多くの新たな特徴を有する新規フラビウイルスであることが明らかとなった。また、上記標準株以外の9分離株(7採集地点、3種のイエカ属蚊類から分離)についても解析を進めた結果、いずれも系統学的にCXFVのcladeに包含されることが確認された。