日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第62回日本衛生動物学会大会
セッションID: A02
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分布境界領域に位置する山形市におけるヒトスジシマカの定着状況
*二瓶 直子駒形 修斉藤 一三栗原 毅小林 睦生
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抄録

我々は東北地方におけるヒトスジシマカAedes albopictusの分布を規定する気温条件として、最寒月の月平均気温、年平均気温、有効積算温度を検討してきた。中でも最も普遍的な指標として利用できる年平均気温に着目して,年平均気温11℃、日平均気温11℃以上の年間の日数、また11℃を閾値として有効積算温度を検討してきた。日平均気温11℃以上の日数が186日以上、有効積算温度1350℃以上というヒトスジシマカの生息確認地の気温条件を満たしていた山形市では,1998年以前には墓地などの調査ではヒトスジシマカの分布は確認されなかった。その後郊外の住宅地でヒトスジシマカの分布が疑われ、2000年には市内の寺院でヤマトヤブカのほかヒトスジシマカが確認された。2002年にはヒトスジシマカのコロニー比率が上昇した。その後調査は実施していなかったため、両種の構成比率の消長を確認する目的で、2009年8月に市内の中心部以外に、環境の異なる周辺地域も含めて生息調査した。墓、蹲、古タイヤその他の人工容器で幼虫を採集し、研究室に持ち帰り成虫にして、種の同定を行った。また調査中に飛来してきた蚊成虫を捕虫網で捕集した。採集場所については寺の電話番号から経緯度を検索し、結果をGISソフトとしてArcViewを用いて採集寺別にヒトスジシマカとヤマトヤブカのコロニー数の比率で図化した。その構成比率の地域差に着目して、他の気温要因や環境要因の解析を行う予定である。

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© 2010 日本衛生動物学会
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