抄録
国立病院機構甲府病院重症心身障害病棟において、1994年から2005年までの12年間に死亡した症例は16例(同期間における入院患者総数の11.5%)で、旧国立療養所西甲府病院における前回調査(1982年から1993年までの12年間)の32例(同21.1%)より減少した。入院患者の背景として、平均年齢は30.9歳から41.6歳へと上昇し、大島分類1が全体の38.3%から47.9%へと増加しており、入院患者の高齢化、重症化が示唆された。前回調査では気管切開症例は1例のみで死亡例は認められなかったが、今回調査では18例が含まれ、うち3例が死亡し、このうち2例が気管切開の合併症による死亡であった。気管切開の導入は、呼吸器感染を減少させ従来は早期に死亡していた重症者の延命に寄与した半面で、気管切開自体の合併症による死亡も生じており、重症心身障害児(者)の気管切開の管理にあたっては、気管切開チューブの選択・固定の方法の他、栄養管理、体動・体位の管理等にも特別な配慮が必要と考えられる。