日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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教育講演2
不随意運動の診かたと対応
佐々木 征行
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2010 年 35 巻 1 号 p. 25-29

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抄録
重症心身障害児(者)は、しばしば不随意運動を伴っている。特に筋緊張亢進を伴うアテトーゼやジストニアが多い。不随意運動が強くなると悪循環を形成することもあり、低栄養や四肢体幹変形や全身の痛みなどを生じ、日常診療の中で治療に難渋することも少なくない。本稿では、初めに不随意運動の一般的な分類や診断法を概説した。治療にあたっては、不随意運動の分類診断をきちんと行い、さらに基礎疾患の診断も正確に行う必要がある。中でも特別な治療法が存在する基礎疾患は見逃してはならない。重症心身障害児(者)の不随意運動に対応する際、治療の基本的考え方としては、筋緊張亢進の悪化因子を分析しそれを取り除くことが出発点となる。その上で薬物療法や整形外科的治療を検討する。最近はこれまでの治療法に加えて、A型ボツリヌス毒素療法や深部脳刺激療法なども脳性麻痺患者の痙性や不随意運動に対して使用されるようになったので、これらについても概説した。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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