日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
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A24 重症心身障害児者通園の医療に関する実態調査
小西 徹宮崎 信義高嶋 幸男末光 茂西間 三馨工藤 麻由子
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2010 年 35 巻 2 号 p. 238

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抄録
はじめに 重症児者通園は在宅重症児者支援の中核事業として全国的に普及してきており、NICU後方支援としての期待も高まっている。その中で、超・準超重症児者の利用が年々増え医療度や医療ニードが上昇している。今回、5施設(A型4,B型1)において利用者の医療度・医療ケアの実態を調査し、その対応と課題について検討した。 対象・方法 5施設の利用登録者2009年254名,2010年249名において、児/者比率,大島分類,超・準超重症児数,超重症児スコアの保有率などを調査した。また、特に重症例を受入れる場合の対応や問題点についても調査した。 結果 1) 児/者比率:21.3、16.5%/78.7、83.5%。2) 大島分類:1〜4は89.8%、90.3%。3) 超・準超重症児:2009年22.8%(旧スコア)、2010年18.5%(新スコア)で、同年の入所者21.5%、22.9%と差はなかった。4)超重症児スコア:登録者平均2009年9.4、2010年8.0で、重症度の変化が軽微であったにも拘らず、ネブライザーと経口摂取全介助の点数減が影響して下がった。項目別にみると、気管切開(レスピレータ管理を含む)13.8、12.0%、O2投与3.9、3.2%、頻回吸引20.9、18.4%、経管栄養(胃腸瘻を含む)31.1、26 .1%、過緊張3.5、4.4%などであり、利用者の30〜40%はかなり濃厚な医療ケアを必要とした。5) 職員配置:A型11〜16人(看護師2.9人)B型7人(2人)と1:1程度が配置されていた。6) 問題点:重症例を受入れるための施設体系の充実が必要で、救急対応を含めた中核病院との連携の重要性や専門医師・看護師不足、医療設備不足などが挙がった。 まとめ 重症児者通園では入所と同程度の医療を必要としており、安全かつ安定した支援を実施する上で、法制化は勿論であるが医療面での補償・加算などが求められる。また、新超重症児スコアの妥当性について検証する必要があると思われる。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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