日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
教育講演1
音楽療法とクリエイティブ音楽ムーブメント
−人と人とをつなぐコミュニケーション−
星山 麻木
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2011 年 36 巻 2 号 p. 242-243

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抄録
クリエイティブ音楽ムーブメントは、音楽療法とムーブメント療法をベースに、自尊感情を高めることを目的として、重症心身障害児から支援者への適応まで視野に入れて、研究開発してきたコミュニケーションや創造性を重視した方法論である。約30年にわたり、重症心身障害児を中心に、療育センターや病院などで、様々なセッションを試みてきた。特徴としては、セッションに参加する子どものみならず支援者も自尊感情を高める、音楽とともに動きや環境を最大限活用する、発達論を理解する、指導者や保護者の創造性や楽しさも大切にする、などである。近年では、発達障害を中心とする特別支援を必要とする乳幼児や小学生に様々なセッションを試み、新たに発達障害の子どもたちへのプログラムとして開発を試みている。まだ発展途上な方法論であるが、ご一緒に簡単な動きや音楽の効果の体験も含め、ともに学んでいけたら有難い。 対象: 重度から軽度まで障がいのある子どもとおとな 母親、教員など指導者 方法: 病院、施設、学校、研修会、療育キャンプ、親子教室など 目的: 自尊感情を高める、自己表出を高めるなど、心理療法的なもの 運動発達、コミュニケーション促進など、発達療法的なもの 対人関係や社会との関わりを広げるなど、生態学的なもの 特徴: 音楽や動きを大切にしながら、QOLにも寄与する    指導者や保護者が楽しさや笑顔を大切にしていること    それらを引き出すために環境からアプローチすること    創造的で即興的であること    中心にあるのは子ども・家族・指導者の幸せである 今後の課題:継続的な優れた指導者の養成      障がいの特性や年齢、目的に応じたセッションの応用 ワークショップ 1 導入  一対一のコミュニケーション     小グループでのコミュニケーション 2 創造 モチーフを使って創造的な動きを考える 3 発表 お互いの感じ方や創造をシェアーし自分の言葉で理解する ・ Werdnig-Hoffmann患者のための音楽療法 =眼球運動による作曲の試み= 音楽療法学会誌3(1):79-83.2003 ・ 重症心身障害児(者)に対する音楽療法とムーブメント療法の実践 鳴門教育大学学校教育研究センター紀要18:137-142.2003 略歴 星山麻木(明星大学教育学部教授 保健学博士) 日本音楽療法学会認定音楽療法士。 映画『星の国から孫ふたり』監修。 ユニバーサル音楽ワークショップ研究会代表。 サポーター育星プロジェクト研究協会代表。 クリエイディブ音楽ムーブメント研究会代表。 東京学芸大学音楽科卒業後、養護学校で音楽教師を務め、退職後、横浜国立大学大学院修士課程(障害児教育)修了、東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻 (母子保健学)博士課程修了。 メルボルン大学客員研究員(早期療育)、鳴門教育大学障害児教育講座助教授を経て現職。 おかあさんおとうさんの作る育児ファイル 東洋館出版。 NHKテレビすくすく子育てなどにテレビ出演、手遊び歌CDなど。
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© 2011 日本重症心身障害学会
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