日本重症心身障害学会誌
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A36 B型通所施設を利用する在宅重症心身障害児(者)の家族の思い
政平 憲子
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2011 年 36 巻 2 号 p. 285

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抄録
目的 B型通所施設に通う在宅重症心身障害児(者)の家族が生きていく上での思いを明らかにする。 方法 対象はB型通所施設を利用しながら在宅で重症心身障害児(者)の介護を5年以上行っている家族とし半構成的面接法によりデータ収集を行った。データは対象者ごとに逐語記録を作成し在宅重症心身障害児(者)の家族が介護を行う中で感じる支えの内容に焦点を当て分析した。 結果および考察 在宅重症心身障害児(者)の家族の思いは『子どもの存在』『社会資源』の2つの側面から構成されていた。『子どもの存在』は「心の安定」「家庭の位置づけ」「子どもとともにいる」の3つのコアカテゴリーにより構成され『社会資源』は「これからの子どもの居場所」「安全で安心できる施設」「家庭と同様の環境」の3つのコアカテゴリーから構成されていた。家族は障害のある子どもの出生後、障害告知による戸惑いをもちながらも“子どもの心を理解する関わり”を通して『子どもの存在』が親の「心の安定」となっていた。「家庭の位置づけ」は、子どもの“落ち着く場所”“満足できる場所”となり、親の「心の安定」につながっていた。「子どもとともにいる」では、家族が、家族以外に子どもを預けることに不安を感じ“家族だからの安心感”“家族の役割は子どもを守る役割”“家族は生涯子どもといたい”ということから自宅での子どもの存在が生きる支えとなっていた。家族は子どもの出生後から長期にわたる生活や介護を通して子どもの満足が家族の満足や生きがいとなっていると考える。また、家族は“将来の介護不安”“社会資源の量と質の不満”“やむにやまれぬ施設の利用”から「これからの子どもの居場所」に不安をもち施設に「安全で安心できる施設」「家庭と同様の環境」を求めていた。『社会資源』は子どもの介護が家庭で行えなくなった場合の家族の大きな支えであり在宅介護を行う上で必要不可欠重要なものであると考える。
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© 2011 日本重症心身障害学会
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