日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
A41 在宅重症心身障害児の医療と療育を結ぶ訪問看護
−在宅重症児看護の向上を目指して−
中澤 真由美石原 道子川又 協子
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2011 年 36 巻 2 号 p. 288

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抄録
はじめに 重症児の在宅療育支援を目的とする東京都在宅重症心身障害児(者)訪問事業を東部訪問看護事業部は受託し特別区(23区)を担当している。訪問看護ステーションの医療保険による看護と異なり必要に応じて退院前支援や受診等の同行、連絡訪問も実施している。 目的 事業実績等を分析することにより今後の重症児訪問看護の充実を図ること 方法 東部訪問看護事業部実績報告、対象者決定通知書(平成17〜22年度)、事業部データベースによる分析。個人特定につながらないように配慮し事業部内でデータ処理した。 結果 平成15〜22年度に都が決定した対象者は年間209〜279人(平均246人)、超重症児は65〜83人(平均30.4%)で準超重症児との合計は7割である。レスピレーターの使用は増加し22年度は47人(19%)で医療ケアの重度化が進んでいる。 また、平成15〜22年度の新規対象者は年間51〜90人(平均69人)で、申請時年齢は0歳児が4割に増加、1歳以下で7割を占めるなどNICU等からの退院の受け皿となっている。22年度の新規原因疾患の第1位は先天奇形(46%)で個別の疾患では18トリソミーが12人(17%)と多い。平成17年以降に関わった18トリソミーの子ども(36人)では0歳児の死亡は12%(現在0歳児の2人を除く)で、出生前から始まる選択的医療や呼吸が安定していない児への高度な看護技術、通園や特別支援学校への就学前支援など医療ケアだけではない療育を保護者から求められている。 結論 1.高度な医療ケア、体調管理と重症児の発達を保障する療育支援を総合した在宅生活支援が必要である。 2.病院ごとに異なる重症児の在宅移行に即した地域の多関係機関によるネットワークが重要である。 3.生命予後が厳しい重症児を抱える家族への支援は生命倫理、障害の受容を含めた看護の質が問われている。
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© 2011 日本重症心身障害学会
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