日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
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B10 重症心身障害児における音楽療法の有効性 唾液アミラーゼによるリラクゼーション効果
松延 かおり瓜生 九二子
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2011 年 36 巻 2 号 p. 295

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抄録
目的 重心患者は疾患的に筋緊張,過敏などがあり、少しの刺激で筋緊張が増強する傾向にあることが多い。そこでモーッアルトの音楽を用いてリラクゼーションを図ることで、快適な生活を提供できるのではないかと考え、研究に取り組んだ。 研究方法 1.対象 四肢麻痺のため、ベッド上での生活が中心で、快または不快の表出が明確にある重心患者5名(男性3名、女性2名) 2.方法 唾液アミラーゼ値、脈拍数、患者の様子について、モーッアルトの音楽を30分間用い音楽聴取前、直後、15分後の3回測定を行った。 倫理的配慮 対象とした患者は意志表示や意思決定が困難なため、保護者または後見人に研究の趣旨、患者への影響と安全性について口頭および文書にて説明し同意を得た。 結果 5名中3名において唾液アミラーゼが音楽聴取前より音楽聴取15分後に下がる傾向にあった。2名においては、一定の傾向はみられなかったが、調査期間中全患者、緊張なく穏やかな表情で音楽を聴くことができていた。 考察 患者の様子において音楽の心地よさといった快の表現を言葉にすることは困難ではあるが、5名ともに不快の表現である指しゃぶりや上肢・全身の伸展動作が減少し、笑顔の表出など快の表現が見られたことから、重心患者に対し、音楽療法は有効であったと考える。 結論 1.音楽聴取中に患者はリラックスした反応を示した。 2.音楽聴取中の脈拍の変化はなかった。 3.音楽聴取中の唾液アミラーゼ値は、患者により差がみられた。
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© 2011 日本重症心身障害学会
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