理科教育学研究
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原著論文
理科の教科書の性格と役割
―教科書を教えるのか,教科書で教えるのか―
遠西 昭寿
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2021 年 62 巻 1 号 p. 289-295

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抄録

理科の教科書は授業中には使われないことが多い。教科書には「答え」が書かれているのが理由であるらしい。本研究では,理科教科書の性格について考察し,教科書が読むべき科学のテクストであることに言及した。理科教科書は科学パラダイムの一部を,その性格を変えずに平易に記述したものだから,古典力学の時代の研究者がパラダイムであったプリンキピアを理解することで科学に参加したように,教科書を理解することは学習者が科学の世界に参加するための前提である。通常科学における科学者がパラダイムの中に問題を発見し解決するように,学習者もまた教科書の中に科学の問題を発見し解決することで科学を学ぶことができる。教科書の観察や実験の役割は教科書のテクスト読解を支援することにある。教科書を科学テクストの一部として読み解くことは,科学に参加する入り口である。

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© 2021 日本理科教育学会
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