日本重症心身障害学会誌
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O-1-B-07 「やわらか食」喫食者の押しつぶし機能評価と「やわらか食」の形状について
森 泰子佐藤 聡子渥美 聡田中 美江子
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2012 年 37 巻 2 号 p. 268

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抄録
当センターでは、5段階の食事形態を設定しており、舌と上顎で押しつぶせる形態で、形はあっても柔らかく、容易に押しつぶせる状態のものを「やわらか食」と称している。そして、咀嚼や食塊形成機能が不十分であって、押しつぶし、送り込み、嚥下ができる人を対象としている。 目的 重症化、高齢化が進み、食事が摂りにくくなっていることから、現在「やわらか食」を喫食している人の機能を評価するとともに、「やわらか食」の形状について検証した。 方法 1.「やわらか食」を喫食している人の押しぶつし機能をアイオールソフト®を評価食として評価した。 2.卓上型物性測定器TPU-2C®(山電)を使用して「やわらか食」の物性を調査し、アイオールソフト®と比較した。 結果 1.「やわらか食」喫食者51名中、押しつぶし可能が28名、押しつぶし不十分が23名だった。また、加齢による歯の欠損により、機能的には高くてもやわらか食を喫食しているケースが8名いることがわかった。2.「やわらか食」の肉、魚料理は生のままミキサーにかけ、つなぎを入れて蒸し焼きにした真薯(しんじょ)にしているが、物性測定によると、そのままではアイオールソフト®より押しつぶしに力を要するものがある。しかし、一口量にして、あんやソースと一緒にすると、より少ない力で押しつぶせることが分かった。野菜料理をゼリーで固めたものはやわらかく仕上がっていた 考察 「やわらか食」の真薯やゼリー固めの料理には必ずあんやソースを付けているが、これによって口に入れたときに食べやすくなっていることが明らかになった。現在の「やわらか食」は押しつぶし機能のある人には適していることが分かったが、押しつぶし機能が低下している人には、さらに柔らかく仕上げた形態が必要であり、食事介助の際には、一口量や食べさせる速度、介助者が予めつぶすなどの配慮が必要である。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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