日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-B-08 利用者・家族・職員をつなげる食事を目指して
−当園食事改革の経過報告−
八木 万希子大島 圭介
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2012 年 37 巻 2 号 p. 269

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抄録
目的 当園ではキザミ食からミキサー食への移行食として“押しつぶし食”や“ゼリー食”を提供してきた。しかし、多様化する病棟の声に個々に対応してきた結果、食事の決まりごとが複雑化し、厨房内での伝達も困難な状況に陥っていた。そこで、今年4月からの厨房業務委託開始に伴い、長く安全に美味しく食べられる食事の提供と、情報共有できる体制作りを目標に掲げ、全面的な食事の見直しに取り組んだので報告する。 方法 1.目指す食事形態の骨組みを考案 2.現状から1へ移行する対象者を抽出 3.食事改革を行うことで得られるメリットを整理 4.委託会社や各病棟職員へ繰り返し説明し、段階的に食事変更 5.毎昼・夕食時に栄養課職員が聞き取り方式で喫食状況調査を実施、課題の抽出と改善の繰り返し 6.職員試食用の食事提供と評価方法の見直し 7.5・6の経過や集計結果をすみやかに病棟へ返し、また給食委員会や部課長会議でも報告 8.職員と家族に向けて食事説明会実施 結果 ・食事改革のメリットを提示することで比較的容易に委託会社の協力が得られた。 ・食事形態において厨房職員と病棟職員で求めるやわらかさや食べやすさにズレがあった。 ・初めて重症児(者)に関わる委託職員が求められている食事形態を理解するのに時間を要した。 ・経過や工夫等の情報を他課へ返すことで、食事への興味や認識が高まった。 ・現状の課題を情報共有することで、課を超え全体で食事内容改善に取り組む流れを作ることができた。 考察 今後はさらに家族への情報開示を行い、利用者自身と家族・病棟職員・栄養士・厨房、それぞれの視点での食事評価を全員で共有したい。それにより利用者が少しでも長く安全に美味しく食べることのできる食事環境を築いていきたい。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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