抄録
目的
療育指導室の役割を検討する基礎資料として、国立病院機構重症心身障害病棟における摂食に関する現状を把握する。
方法
独立行政法人国立病院機構・独立行政法人国立センター重症心身障害病棟児童指導員・保育士に、アンケート調査を平成23年9月1日現在で実施した。
結果
摂食状況では45施設(61%)111病棟から回答があった。施設形態Iでは経口全介助45%、胃瘻腸瘻16%、経鼻胃管/経口ネラトン法13%、スプーンでなんとか11%、スプーンで上手に11%の順であり、年齢層別では、30歳以上で7〜8割が経口摂取可能であるのに対して、30歳以下では年齢が低くなるにしたがって経口摂取できない群が増加することがわかった。施設形態IIでは18歳以下は10人であり、自食群はいないこと、自食群は年齢が高くなるにしたがって減少することがわかった。昼食時と夕食時では、夕食時にスタッフが多少減少する傾向にあったが、摂取状況に変化はなかった。しかし、経口全介助者の摂取時姿勢は夕食時ベッド上になる群が倍増することがわかった。
結論
18歳以下についてはその大半が、経鼻胃管・胃瘻腸瘻であり、超重症児スコアは25点以上、死亡原因は肺炎・呼吸不全であることから、経口摂取を目指すことよりも、誤嚥性肺炎予防のための摂食機能療法が重要となる。18歳以上については、経口摂取・自力摂取が増加することから、姿勢保持と食事環境の整備、自力摂取支援、見守り支援が中心的役割となるとともに、食の楽しみの場を支援することも重要であり、日常から離れた空間の設定や、家庭的雰囲気での食事環境設定も重要な役割となると考える。