抄録
重症心身障害児(者)は不動性の廃用、嚥下障害による栄養不足、太陽曝露の不足などの要因により骨軟化症および骨粗鬆症を来し軽微な外力での骨折、いわゆる脆弱性骨折を起こすことがある。当院でのこれまでの骨折防止の取り組みを報告する。
骨折の現況
平成14〜20年度の間に37例の骨折が発生し発生頻度は平均2.6%(骨折数/全患者数)であった。寝たきりレベルでは大腿骨骨折が多く、歩行レベルでは手指の骨折が多かった。受傷原因は70%が不明であった。
危険因子の検討
大島の分類区1に該当する寝たきり患者について超音波による踵骨骨密度測定、血液検査、下肢関節可動域測定を行った。骨折の既往がある群とない群との比較では、股関節の開排角度についてだけ有意差を認めた。よって(1)股関節の開排角度45度以下、(2)骨折の既往があることのいずれかに該当する場合、骨折の危険性が高いと評価することとした。
防止への取り組み
寝たきりの場合にはビスホスホネート製剤の使用は困難であること、また受傷機転はなんらかの介護動作に伴う可能性が高いことから、病棟スタッフへの指導・教育が重要であると考え、平成22年度から骨折防止を目的とした病棟回診を行った。月に1回、リハ科医師、理学療法士、看護師により病棟を回診し、患者のポジショニング、オムツ交換動作、車いすへの移動などに際して指導を行った。平成22および23年度の指導はポジショニング(仰臥位・側臥位)指導延べ30名、オムツ交換指導11名、車いす移乗介助指導7名であった。回診を開始して以来骨折発生件数は減少傾向にある。