日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-C-10 超重症児の在宅導入までのアプローチ
−間欠式バルーンカテーテルを使用した1事例−
山口 昌子木下 靖子久保田 雅美上野 美保山本 正仁成宮 正朗
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2013 年 38 巻 2 号 p. 278

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抄録

はじめに 乳児・小児における自己導尿は、導尿回数が多いことや、親や家族が導尿を行うため家族のケア負担が大きいことが現状である。今回われわれは、呼吸器管理と神経因性膀胱のため導尿管理が必要な超重症児に対して、排尿困難な患者の日常生活に適した排尿管理として注目されている間欠式バルーンカテーテルを導入した。その結果、腎機能の悪化や有熱性尿路感染をおこすことなく、夜間の導尿回数を減らし家族のケア負担の軽減になり、在宅療養への移行を実現した症例を経験したので報告する。 症例 症例は、在胎週数32週で出生した女児である。出生体重2038g、アプガースコア1、2点。重症新生児仮死で低酸素性虚血性脳症を発症し、自発呼吸はなく、24時間人工呼吸器管理を行っている。胎児母体間輸血症候群からの急性腎不全後に腎機能障害を呈し、膀胱尿管逆流症を伴う神経因性膀胱のため尿路感染症を繰り返すため、感染管理と腎機能保護の目的から1日9回の導尿管理を行っていた。 結果 症例は膀胱尿管逆流症があり、尿路感染を繰り返していたが、1日9回の導尿をすることで尿路感染は減少した。しかし、在宅療養を実現するためには、家族による人工呼吸器管理、さまざまな処置やケアが必要であり、夜間の導尿は負担が大きかった。そこで、適切な排尿管理を行いながら夜間のケア負担軽減を図る目的で間欠式バルーンカテーテルを導入した。その結果、退院時には昼間三回、夜間は間欠式バルーンカテーテルを留置することで、腎機能の悪化や有熱性尿路感染症を生ずることをなく、排尿管理ができた。間欠式バルーンカテーテルは、家族のケアの負担軽減に役立ち、在宅療養に移行できた。

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© 2013 日本重症心身障害学会
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