日本重症心身障害学会誌
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O-1-C-11 訪問看護・家庭主体のレスパイトケアへの取り組み
岩澤 悦子丸木 和子鈴木 郁子有野 希
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2013 年 38 巻 2 号 p. 279

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抄録

はじめに 医療保険制度や障害者施策などの見直しとともに、「施設から在宅へ」シフト転換されつつある。重い障がいを持つ子どもが家庭で生活するうえで、訪問看護師は大きな役割を担っている。しかし、看護師の経験値の低さなどから小児を対象とした事業所は不足している現状にある。そこで、地域支援の一環として、重症児ケアの経験値の高い重症児施設の看護師による訪問看護・家庭主体のレスパイトケアを当センターで取り組み始めたのでその経過を報告する。 対象 訪問看護:2名 A:7歳 女児 髄膜炎後遺症・水無脳症 重症児スコア34点 B:11歳 女児 メビウス症候群・脳性麻痺 重症児スコア30点 家庭主体のレスパイトケア:6名 C・D:3歳 男児(双子) 先天性肺胞低換気症候群 重症児スコア29点 E:3歳 男児 先天性水頭症・てんかん 重症児スコア39点 F:8歳 男児 てんかん・運動発達遅滞 重症児スコア27点 G:9歳 男児 リー脳症 重症児スコア37点 H:15歳 女児 難治性てんかん・脳性麻痺 重症児スコア34点 結果・考察 利用者はほぼ学齢期であり、同胞も学齢期であることが多い。そのため、同胞の学校行事や外出時の留守番看護を希望するケースが多い。重症児ケアの経験値が高い看護師が行うことで、家族は安心感が得られ、同胞との時間が確保できるようになり、同胞を育てる良い環境作りの支援にもなっているのではないかと考える。いずれの症例も他の事業所のサービスを利用しているが、時間数や内容など医療保険制度の枠内での利用のしにくさを感じている。家庭主体のレスパイトケアでは、家族が望むケアの提供が可能となったが、利用者主体の看護(療育)ができる反面、コスト面での課題が残っている。利用者・家族支援を最優先に考えながら、より多くの利用者が利用できるような仕組みを構築し、家族と共に育つ子どもたちを支援していきたい。

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© 2013 日本重症心身障害学会
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