抄録
はじめに
2011年3月11日に発生した東日本大震災を経験し様々な問題に直面した。東京都の多摩地区では計画停電(一部地域)など大きな影響を受けた。そこで、在宅重症心身障害児(者)(以下、重症児)の震災に伴う影響を知り、今後どのような支援が必要かを検討するために調査をした。
目的
在宅重症児の災害時の実態を把握し今後の支援につなげる。
対象および方法
西部訪問看護事業部利用者の在宅重症児114名のうち調査の承諾が得られた家族96名を対象とし、2011年6月〜7月にアンケート調査を実施した。震災発生時からの状況など11項目で、選択方式にて回答を求めた。回収率は88%であった。
結果
発災当日に「困ったことあり」が67%で7日目に75%と日を追うごとに増えている。「通信障害による家族や関係者と連絡が取れない」などの不安から「おむつ、シリンジがない」などの物資不足への不安へと変化していった。避難場所を「決めていない」が65%で「移動するためには人手がいるため自宅に居るしかない」「電源の少ない避難所へ行ってもしかたがない」「家のほうが安全」と回答。関係機関からの問い合わせがあったか、では「あり」が81%、「なし」が19%。問い合わせ「あり」の内1人は、7カ所からの連絡がありと回答。計画停電では、日頃からの停電対策をしている家庭が多く「問題なかった」が44%であった。
考察
アンケートの結果から「通信障害」「移動・避難」「物資不足」「停電」「関係機関との連携」のカテゴリーに分類し日頃から個別に災害対策を立てる必要があることが分かった。
まとめ
災害弱者といわれている重症児の災害対策として1.家族と共同で作る個別支援計画の作成、2.家族と共に行う防災訓練、3.医療、看護、介護、行政、近隣とのネットワークづくりなど重症児と家族が生き抜く力を高める支援が必要であると考える。